CSルイスといえば『ナルニア国物語』が有名ですが、
この『悪魔の手紙』も、発売当時大ヒットした、ルイスの代表作のひとつ。
好みが分かれそうだけど、
私的には、すっご〜〜〜くおもしろかった!!!
現役を引退した老悪魔が、若い新人悪魔に「人間を誘惑するための助言」をするべく
手紙を書く……という設定なのですが、
手紙形式で綴られるこの「アドバイス」が、心にグッサグッサ、もうすごい数の矢が、突き刺さってくる……。
「うわ〜……、そうかそうか。私、悪魔に誘惑されてあんな行動を取っていたのね……」
と、おもわず自分に置き換えて考えてしまうような、妙にリアルな内容でした。
でも、シリアスな内容ってわけでもなく、
新人悪魔の「仕事できなさっぷり」がありありと伝わり、コミカルで笑ってしまいそうにもなる、楽しい一冊。
イギリスが舞台、さらにCSルイス自身がキリスト教徒、ということで、
信仰にまつわることも多く書いてはあるのですが、
そもそもが「人間の根本的なこと」を書いているので、キリスト教に馴染みがない人でも、「ううっ」と心に刺さる箇所があるのではないだろうか……。
悪魔が「やばい!このままじゃ、誘惑に失敗しちゃう!」と危機感を感じる瞬間も面白い。
「人間が、ただ普通に散歩をして、日常の美しさに気づくこと」
「読書を好む」「考え方をシンプルにすること」
などなど……。
初版発行は1942年らしいけど、これを読むと、
人間の根本的な問題って、時代に関係ないんだなぁと思う。
「自分だけの悩み」って思っていることも、長い人類の歴史の中で、必ず誰かが通ってきた道。
だから絶対、解決策はあるはず。
心が落ちこんだり、何かの思いで頭がいっぱいになりそうなときは、
これを読んで「うわぁ、やば。今、まんまと悪魔に誘惑されてるのかも……」と、自分を客観視するのもいいかもしれない。
情報があふれすぎている現代にこそ、必要な本な気がする。
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