人と人に、運命的な出会いがあるように、
本と人にも、運命的な出会いがある。(と私は信じています)
(〜小田和正さんの「ラブストーリーは突然に」をBGMに〜)
あの日、あの場所で、あの本と出会っていなかったら、
今日の私は存在しなかったんじゃないかな、と思える本がいくつもあります。
たとえば7歳。
ドリュオンの「みどりのゆび」。
宮城の祖母の家で、母が読み聞かせてくれた。
ラスト、涙がツーっとこぼれて、胸がきゅうきゅう痛くて、この感情はなんなんだろう……と、混乱したのを覚えている。
9歳。C・Sルイスの「ナルニア国シリーズ」。
今でも「お話を読んだ」という印象ではなく、「私もナルニアに行った」という感覚が残っている。
きっと9歳の私は、ルーシーたちと一緒に、あの箪笥からナルニアに冒険したのだ!
11歳。吉本ばななさんの「TSUGUMI」。
本なのに、文字なのに、どうして波の音が聞こえるんだろう!
どうして、つぐみの肌の白さが、高熱の出た時の吐く息の熱さが、こんなにもわかるんだろう!
驚きすぎて、この本にはなにか魔法がかかっているんじゃないかと、何度も
表紙と背表紙を確認した。
12歳。ミヒャエルエンデの「モモ」。
汗ぐっしょりになって、背後から時間泥棒が追いかけてくる気がして、何度も何度も振り返りながらページをめくる。
読み終わった後は、息があがっていて、長時間プールで泳いだ後のような疲労感と、
ああ、助かった……! という安心感でいっぱいに。
13歳。森絵都さんの「リズム」。
主人公に共感して、主人公が大好きになって、読後すぐに本を抱きしめて、ああ、この本が私だけのものだったらいいのに……!と思うほど、愛おしさでいっぱいになった。
(まるで親友を見つけて、その子を独占したくなるような気持ちで)
14歳。「ハリーポッターと賢者の石」。
あまりのおもしろさに、読み終わりたくなくてわざとゆっくり読んだ。
あの重くて大きなハードカバーを、電車の中でたくさんの人が読んでいたのが嬉しくてたまらなかった。ああ、みんな、同じ魔法の世界を共有しているんだ……! って。
スーツ姿のおじさんや、大学生くらいのお姉さん、おばあちゃんから小学生まで。
みんな知らない人なのに、同じ本を読んでいるってだけで、なんだか肩を組みたくなるような親近感を覚えた。
今思い返すと、なんだか嘘みたいな、夢のような光景だったなぁと思う。
16歳。三浦綾子さんの「塩狩峠」。
しばらく立ち上がれないくらいの衝撃を感じた。本を読んで、嗚咽するほど泣いたのは人生で初めてだったかもしれない。
・・・・・・・
ここに書いたのはほんの一部で、
他にも数えきれないくらいたくさんの、本との出会いがある。
一冊一冊が、その時々で私を支えてくれた。
家族になり、友達になり、先生になってくれた。
本屋に行くと、わくわくして震える。
こんなにたくさんの本がある。
こんなにたくさんの出会いがある!
鼻息荒く興奮しながら、今日も私は本屋に行くのです。
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