映画を観ました。
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
全寮制の男子高校。
クリスマス休暇を学校で留守番することになった、
中年教師と、料理長の女性職員、男子生徒。
それぞれに「孤独」と「世の中からの置いてけぼり感」を持っている三人が、次第に心を通わせていく……というストーリーなのですが。
ああああよかった……。
めちゃくちゃ好きな映画だった。
「あーあ、俺ばっかり損したなぁ」と思うような時間にこそ、「本当に大切なもの」が見つかるのかもしれない。そんな希望を、ちっとも押し付けがましくなく、じんわりそっと届けてくれる。
クリスマスシーズンの映画を、この暑すぎる季節に見るのもなんかいい。
「自分のこと」で頭がいっぱいの時の出口って、「誰かのことを思いやれた瞬間」に見つかるのかもしれない。
三人のその後は劇中では描かれていないけれど、「絶対大丈夫!」と思わせてくれる、最高のラストだった。
(最後の最後の主人公のちょっとした行動に、そうだそうだ! そんな感じで行けー―! と心の中で大声援を送る)
今年観た映画の中で、ダントツで一番かもなぁ――と思った翌週!
夜中に何気なくU-NEXTで観た、『幸福なラザロ』にぶったまげた!
1980年代に実際にあった詐欺事件をモチーフにした、疑うことを知らない純真無垢な青年、ラザロの運命を描いた映画。
タイトルからして「ほっこり系」なのかな? と思ったら大間違い。
「世の中」とは「生きる」とは、を真っ向から突きつけられ、価値観を揺さぶられまくる、社会派映画。
ラザロの吸いこまれそうな瞳に、観ている自分自身の汚さが、嫌というほど浮き彫りになる。
世の中が馬鹿にしようと、いくら見下そうと、そうか、彼こそが「本物」だったのか……。
エンドロールの間じゅう、金縛りにあったように動けませんでした。
自分は、ラザロのようには到底なれないけれど、
せめて、ラザロのような人の、心の美しさを見逃さない人にはなりたいなあ……。
この映画の何がすごいって、前半と後半で「映画そのもののジャンル」がガラッと変わってしまうところ。
一歩まちがえたら「ちょっと安っぽい展開」になってしまいそうなところを、絶対にそうはさせないアリーチェ・ロルヴァケル監督。
ななな、なんという才能なんだ……。
もうずっとあなたについていきますよ監督ー―!と心の中で忠誠を誓いました。
(最新作の、『墓泥棒と失われた女神』も来週から劇場公開! 絶対観に行く!)
自分の好みドンピシャの映画(本も)に出会えたとき、地面から2センチくらい浮かび上がったような、そんなルンルンした気持ちになる。
立て続けに2本も名作に出会えたので、しばらく私は4センチくらい浮かび上がっていることでしょう。
久しぶりに会った人に、「あれ? 背伸びた?」って言われるかも。
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