• megumim1219

ラストスペアキー



はい、やらかしました。


自転車の鍵、無くしました。


どこを探してもない。ない。ない。ない。

でっかい鈴をつけて、落としてもわかるようにしていたのに、ない。

基本、リュックサックか小さめショルダーのどちらかしか使わないのに、そのどちらにも入っていない。スカートのポケットにも入っていない。


「マジか……」


しかたなく、机の引き出しにしまいこんでいた、「スペアキー」を取り出す。


「つ、ついに……」


ゴクリと唾を飲みこむ。

このスペアキーは、最後の砦。

そう。私には、もうこれしか残されていない。


急に、緊張感が走る。

スペアキーが「レギュラー」に昇格してしまったのだ。

「もう、後がない……!」


ちなみに、人生で「自転車の鍵を完全に無くしてしまった」経験は、私にはまだない。なので、完全に鍵を無くしてしまった末路がどうなるのか、それが全くわからないのも恐怖を煽る。

自転車屋さんで解決できるのか?

メーカーに問い合わせとか、ややこしや〜なことになるのではないか……。

私はそれが怖くて、長いこと、「数字を合わせるタイプ」のチェーン型の鍵を利用していたのだ。

だけど、一念発起して購入した電動自転車は、さすがにチェーンじゃ心もとない。というか、最初から立派な鍵が付いているし。

自分の性格からして「鍵、なくすだろうな……」と一抹の不安はあったものの、新しい自転車には、2つもスペアキーが付いていた。

レギュラーを入れれば合計3本。

つまり、1つ無くしても、あと2つ。もうひとつ無くしても、まだ1つある! 

そんな安心感から、私はチェーンを卒業したのだった。


なのに。


「スペアキーが2本もあるんだぜ」という安心感は、私の気を緩ませた。

毎度、同じ場所に保管すればいいものを、玄関先にぽいっと置いてみたり、カバンの内ポケットに入れてしまったり……。

そして案の定、自転車購入後、わずか5ヶ月で1本目の鍵を無くしたのだ。

半年も経たずに……。なんと愚かな……。

さすがに、この時は反省した。このペースでいくと、残りの2本もどれだけ持つか分からない。

心を入れ替え、玄関に、鍵をかけるフックを取り付けた。

必ずここにかければいいのだ。簡単なことよ。


それから数年……。


鍵はちゃんと玄関にかけられ続けていた。

たまに、「あれ? やだー、ポケットに入れてたー」ということがあっても、ちゃんとすぐに発見されていた。


なのに。

今朝。


ついに、紛失してしまったのでした。


さーて、ラスト1本!

心を入れ替え、鍵を守り切れるのか。


緊張の日々が、いま始まる。